(2025-02-08 初稿)
DebianなどのLinux環境でMS Officeの文書や表計算、プレゼンテーションファイルをやり取りする際、レイアウト崩れに悩まされることは多い。Windows 11などのMS Office環境で確認すると、意図しない表示のずれが生じていることが多々ある。
Debian Bookworm(12)に標準インストールされるLibreOffice 7.4でも、MS Officeで見た際のレイアウトを完全に再現するのは困難である。最終確認の必要性はさておき、最初からレイアウトの崩れを気にせずにオフィスファイルを作成したいというニーズは大きいと思われる。
筆者は普段DebianでLibreOfficeを利用しているが、最近、MS Office互換性が高いと評判のフリーオフィスソフトOnlyOfficeの存在を知った。そこで、Debian Bookworm(12)にインストールして試してみた。
OnlyOfficeのインストール
インストールはdebパッケージが用意されているので簡単。
上記ページからDEB版をダウンロードし、以下のコマンドでインストールできる。
$ sudo apt install onlyoffice-desktopeditors_amd64.deb
なお、常に最新版を利用するためには以下のページにあるとおり、aptラインを追加すると良い。
- Add GPG key:
mkdir -p -m 700 ~/.gnupg gpg --no-default-keyring --keyring gnupg-ring:/tmp/onlyoffice.gpg --keyserver hkp://keyserver.ubuntu.com:80 --recv-keys CB2DE8E5 chmod 644 /tmp/onlyoffice.gpg sudo chown root:root /tmp/onlyoffice.gpg sudo mv /tmp/onlyoffice.gpg /usr/share/keyrings/onlyoffice.gpg
- Add desktop editors repository:
echo 'deb [signed-by=/usr/share/keyrings/onlyoffice.gpg] https://download.onlyoffice.com/repo/debian squeeze main' | sudo tee -a /etc/apt/sources.list.d/onlyoffice.list
OnlyOfficeの起動
ターミナルで 以下のコマンドを入力するか、メニューからONLYOFFICEを選択することにより起動できる。
$ desktopeditors &
ちなみに、OnlyOfficeを完全に消去する方法は、以下のとおり。
$ sudo apt-get purge onlyoffice-desktopeditors
LibreOffice(7.4)との比較
OnlyOfficeのMS Office互換性がどの程度なのか、MS Wordで作成した履歴書、Excelファイル、PowerPointファイルをLibreOfficeと比較してみた。
LibreOfficeでは、一番下の行が1ページに収まりきらず、次のページに送られてしまっている。OnlyOfficeでは、ほぼ見た目は変わらず、レイアウト崩れもなかった。
続いて、以下のサイトからダウンロードさせてもらったエクセルファイルを比較してみた。
ほとんど変わらなかった。強いて言えば、LibreOfficeの方が表の横幅が狭いが文字も小さいため、若干読みやすい印象である。
続いて、以下のサイトからダウンロードさせてもらったパワーポイントのファイルの比較。
ほとんど変わらないが、LibreOfficeのみフッタの枠線が表示されてしまっている。
以上の結果、LibreOfficeよりもOnlyOfficeの方がMS Office互換性は高いと言えるだろう。ただし、調査したバージョンが7.4と古いためかもしれない。
確認できたOnlyOfficeの不具合
その他、筆者が調べた範囲では、OnlyOfficeは以下の不具合があった。
・ドキュメントで、縦書きの文書が作成できない
・縦書きのテキストボックスが正しく表示されない
おわりに
これまで筆者の利用した範囲では、MS Officeとの互換性は、LibreOfficeとほとんど同じだった。
もう少し作り込んだファイルで比較検討する必要はあるが、Linuxでもフリーで使えるオフィスソフトが増え、お互いに切磋琢磨して高品質化してくれることは非常にありがたいことである。